にこさうんど、nicomimiとnico3gpの著作権問題(追記)

この記事は古くなりました。
追記
ニコニコ動画公式においてNicoSoundという名称で音声ダウンロードサービスに対応した。

これまでニコニコ動画はJASRACと包括契約を締結していたが、このサービスのために従来の契約内容を更新し、DLまで可能になったことを発表した。

また、JASRACとの契約も更新され、ダウンロード数に応じて作者にお金(使用料)が回る仕組みであるとのことが報道されている。音楽の作者へお金が回るようにするためには、公式のNicoSoundでダウンロードすべきである。

その他のダウンロードサービスを利用することは、本来、作者へ入るはずだった使用料に損害を与える、財産に損害を与えることになる、ということが明らかになった。NisoSoundが公開される前の状況よりも、ダウンロードサイトの管理人としてはより危険な状況と言えるのではないか。

今までの内容
世の中にはニコニコ動画の動画データからmp3に切り出しを行うにこさうんどnicomimiのようなサービスが存在する。またnicomimiの制作者はニコニコ動画のデータを携帯電話向けに変換できるnico3gpというサービスを運営していたりする。他にBRIDGEというサービスではニコニコ動画のプレミアム動画のデータを引き抜き公開していたりする。

個人的には話題になってるストレージ著作権問題の件TV番組の海外転送は適法判断(知財高裁)など、PCとネットワークとメディアの著作権に興味があり、当然、ニコニコ動画の変換サービスにも興味がある。問題なのは、これらのサービスが適法なのか、違法なのか、の判断だ。違法であるとするには、何の権利を侵害しているのかどうかを示さなければならない。

この点について本日時点で検索で調べてみたが、なかなか出てこない。そこでこの件について自分で考えてみることにした。

争点

これらのサービスはニコニコ動画から動画のダウンロードを行い、変換(切り出し)を行い、不特定多数の利用者へのダウンロード行為を行っている。

この行為でも問題になるのは、著作権のうち、「複製権」と「公衆送信権」であると考えられる。

複製権

まず、ニコニコ動画から動画のダウンロードを行うという点について、複製を行っていることから、複製権の侵害が考えられる。その著作権者はニコニコ動画の運営元ニワンゴ(ドワンゴ)ではなく、元々の動画の投稿者であると考えられる。なぜならニコニコ動画の動画アップロード規約を確認してみても、投稿者からニワンゴへはWeb上での公開する権利しか認められていないからだ。

つまり、動画の著作権の権利の多くはニワンゴに許可しておらず、動画の投稿者が保持する。つまり、ニワンゴ側に複製権侵害を題目とした警告は出来ない。元々の動画の投稿者は可能であり、かつ、複製の禁止、削除を求めることができる。

私的な複製

複製権の回避の方法として、私的複製が挙げられる。

第三十条 著作権の目的となっている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は,個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは,次に掲げる場合を除き,その使用する者が複製することができる。

一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し,これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合

つまり、サイト利用者側が私的複製のために利用していると考えられるものであり、複製権侵害にはあたらない、という議論も予想される。以前の裁判事例のうち、複製の主体性が運営者にあるかどうかが問われる点があった。今回のシステムでは、利用者と1対1対応するサーバ機器ではなく、複製の主体はサイト運営側にあると判断され得る。よって、私的複製が認められない可能性がある。

また、除外される項目として「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器」が考えられる。公衆、つまり不特定多数が利用することを目的としている自動複製機器と判断されることがあれば、このサービスは私的複製に当たらず、違法である。

この複製権については、複製をしていないことを立証できればいいが、これらのサービスは全て複製をしていると考えられるので、回避は困難である。

公衆送信権

つぎに「公衆送信権」について考えてみる。

これらのサイトでは、変換者以外の利用者でも、既に変換が行われたデータをダウンロードすることが可能である。公衆とは不特定多数のことであるから、この点に当てはまる。つまり、公衆送信権の侵害である。

それでは、公衆送信をしなければいい、という考えで変換したユーザだけでダウンロードが行える仕組みはどうなのか、を考える。MYUTA事例では、MYUTAはストレージサービスであり、ユーザが携帯電話向けに変換したデータを預かり、携帯電話の固有番号と紐付けを行った上で配布することを実現しており、一見は特定ユーザへの配布を行っているように見える。

しかしながら裁判判決文では、

なお,本件サーバに蔵置した音源データのファイルには当該ユーザしかアクセスできないとしても,それ自体,メールアドレス,パスワード等や,アクセスキー,サブスクライバーID(加入者ID)による識別の結果,ユーザのパソコン,本件サーバのストレージ領域,ユーザの携帯電話が紐付けされ,他の機器からの接続が許可されないように原告が作成した本件サービスのシステム設計の結果であって,送信の主体が原告であり,受信するのが不特定の者であることに変わりはない。

とされ、「公衆」への送信とみなされてしまっている。

これを回避するためには、「まねきTV」事例と同様に、ロケーションフリーTVなどのような事業者が用意したとは言いがたい機器をハウジングするシステム構成をとることになる。具体的には、ニコニコ動画からダウンロードして登録者のみがデータをダウンロードできるような1つのハードウェアをサービス事業者以外の事業者から購入して利用するという形になる。

まとめ

以上のことから、これらのサービスは「複製権の侵害」「公衆送信権の侵害」を行っているものであると今までの判決から考えられる。

と、書いていたら【注意】 nicomimi のトップレベルドメインが「.com」から「.net」に変わります。において、ドメインを止められ、

お問い合わせについてですが、当該ドメイン「nicomimi.com」は著作権法違反幇助の疑いで2009年5月21日付けで利用停止処置となっております。

ということになっているらしい記事を見つけた。この場合、著作権法違反幇助とされているので、主犯が存在するはずであるが、主犯は利用者側にあるのか、ドメインに対するサイトを主犯としているのかについては分からない。

正当な自身のコンテンツの投稿者が訴えているのか、レコード協会が申し出を出したのかどうかは疑問だが、そろそろ裁判沙汰になりそうな雰囲気なので、色々と勉強させていただきたいと思う。(レコード協会のやり方だと一箇所だけ犠牲になるんだろうなぁ)

P.S.

話題になってるストレージ著作権問題の件で間違っていることを書いていることに気がついた。

まとめると、「公衆送信権」には問題がないけれど、「複製権」に問題がある、ということ。

は嘘で、公衆送信権に問題あり。つまり、「複製権」と「公衆送信権」に問題あり。

ちゃんとした見解を書くには関係ある判決文を一度、読み直さないといけないな…

追記その2、MYUTAの件が与えた影響

で、個人的にはMYUTAの件については上告されるべき事例だったと思う。この事例の影響は大きすぎる。様々なサービスがネットワークを通して出来なくなるし、ネットワークを通した行動であっても私的複製と見解される事例はあっても良いと思う。ということで、裁判になって正しい判決が出てくれると社会の利益になるので、望ましいと思う。

追記その3、合法に利用するには?

現状の法体系で合法なのは、ダウンロードツールを用いたダウンロードと、そのダウンロードしたデータからmp3をツールを使って切り分ける行為だ。この2つはフリーのツールでもいいし、商用のツールでもいい。販売する側も商号などを勝手に利用しなければ合法だと考えられる。

ただし、あまりに酷いプログラムで負荷を与え続けるなどの影響があると、営業妨害になってしまうかもしれないが、通常、そのようなプログラムを書くことはありえなそうなので、大丈夫かと思う。

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